
全国各地の有人離島の地図が描かれたトレーディングカード「Map Design GALLERY CARD 有人離島」が7月18日に新発売となりました。
今回はこのカードの仕様やデザインを決めるまでの過程や、制作中のこだわりなどについて、商品企画担当の高橋とデザイン担当の長縄に聞きました。
全国各地の有人離島の地図が描かれたトレーディングカード「
今回はこのカードの仕様やデザインを決めるまでの過程や、制作中のこだわりなどについて、
商品企画担当の高橋とデザイン担当の長縄に聞きました。

|離島の地図が描かれたMap Design GALLERY初のトレーディングカード
―地図をテーマにしたトレーディングカード「Map Design GALLERY CARD 有人離島」の第一弾がいよいよ発売されました。このトレーディングカードが生まれた経緯をお聞かせください。
高橋
Map Design GALLERYでは地図をベースにデザインしたさまざまな雑貨系アイテムをお届けしてきましたが、これまでとは違った形でお客様に地図のアイテムを届ける方法はないかと色々と模索していたところ、トレーディングカードの市場が近年盛り上がっていることを知り、ゼンリンの地図データをカードとしてコンテンツ化することで、従来とは異なる層のお客様へアプローチできるのではないかと考えました。
ゲーム性のある対戦系のトレーディングカードだけでなく、ダムカードやマンホールカードなど地域の観光に即したコレクションカードも含めて幅広い年代に人気があるので、今回発売した地図のトレーディングカードも性別にかかわらず幅広い人が楽しめると思います。
―なぜテーマとして有人離島を選んだのでしょうか?
高橋
ゼンリンの地図をもとにどのようなトレーディングカードを作れば面白いのか、ということを部署のメンバーと色々と話し合い、最初は「空港」や「ジャンクション」、「城郭」などさまざまなアイデアが出たのですが、トレーディングカード市場への参入者として当社は後発組になるので、せっかく新しいアイテムを出すのなら、やはりゼンリンという会社の特性を活かした、とことん“尖った”コンテンツのほうが話題になるのではないかと考えて、離島をテーマにすることを思いつきました。離島にフォーカスした商品というのはMap Design GALLERYとしては初めてです。

▲企画担当 高橋

▲デザイン担当 長縄
長縄
これまでMap Design GALLERYで地図をデザインする際、本土から距離のある離島は削らざるを得なくなることがよくありました。
やはり離島に住んでいる人や、その離島を訪れたことのある人からはそれが残念に思われることもあり、離島を入れたい気持ちはありつつもデザインのバランスなどを考えると実現が難しいなど、ずっとモヤモヤとしたものを感じていました。
そこで、あえてトレーディングカードとして商品を立ち上げるのであれば、離島をテーマにすると面白いのではないかと考えました。
ただし、日本には離島が約14,000島以上もあり、さすがにこれをすべてカード化するのは難しいので、ゼンリンは住宅地図を作っている会社ということで、人が住んでいる島、つまり“有人離島”に着目したところ、304島というトレーディングカードにはちょうどいい数字が出てきましたので「これはやるしかない!」と思いました。
―304島というのは、どのような基準で選定したのでしょうか?
長縄
日本には離島の無人島化の防止や定住の促進を図るために「離島振興法」という法律があり、この法律の対象となっている島が256島あります。
このほか、沖縄や奄美群島、小笠原諸島の特措法の対象となっている50島を足した306島から、一般の人の立ち入りが制限されている硫黄島と南鳥島を除いた304島をカードにすることにしました。
今回は第一弾ということで、304島のうち70島を発売しています。
|注記を省いたシンプルなデザインを採用、遊び心でレア度と人口密度を掲載
―離島の地図をデザインする上でこだわった点を教えてください。
長縄
このカードは、地図が好きな人をターゲットとして、離島に興味を持っていただきたいという思いが前提にあります。
また当社としては、やはり地図でしか見せることができない情報を載せたいという思いがあり、「真上から俯瞰した離島の形」「地形や道」「どこに人が集まっているのか」などといった離島に興味を持ってもらうきっかけになるであろう最低限の情報を、直感的に読み取れるようにしたいと考えました。
そこで地図のデザインとしては、注記(地図上に掲載される文字や数字)を一切省いて等高線と道路と建物、水域だけに絞って掲載することにしました。
島の大きさというのは1平方キロメートル台から数百平方キロメートルまで差が大きく、すべての縮尺を合わせることは難しいので、それぞれ島全体がカード内に収まる大きさにサイズを調節した上で250mや1kmなど距離のスケールを入れています。
そのため大きい島の場合は印刷したときに道路の線が潰れて見えなくなってしまうので、太さについては島の大きさに応じて多少調整しています。
また、標高の濃淡は陰影ではなく、標高による濃淡と等高線の密度で表現しており、島の形状と地形、集落の状況を直感的に読み取ることができます。

▲等高線・道路・建物に絞ったシンプルな地図デザイン
―地図以外の部分ではどのような点にこだわりましたか?
長縄
島の縮尺がカードによって異なるため、どれくらいの広さの島で、どれくらいの人が住んでいるのかという“規模感”を伝えたいと思い、人口と面積を入れています。
また、このカードは対戦用というよりもコレクション用の側面が強いのですが、遊びの要素として右上に人口密度、左上にレア度を入れました。
人口密度は、ゲーム性を持たせるためにランダムな数字が欲しいと色々調べた結果、人口密度を算出したら島の大きさにかかわらず数字がバラバラになったので、これを採用しました。レア度は「レア(R)」「アンコモン(U)」「コモン(C)」の3種類で、人口が1桁の島がレア、2桁の島がアンコモンで、それ以外がコモンです。これは別に島同士を競わせたいわけではなく、ただ「珍しい」というだけです。
このほか、日本のどの位置にある島なのかを示すために日本列島の地図と島の位置、そして緯度・経度を入れているのですが、これは島の地図を邪魔しないように右下の部分に配置しました。
―裏面は等高線だけのシルエットの地図になっていますが、このようなデザインにした理由を教えてください。
長縄
裏面については当初、カードを集めるためのモチベーションを喚起させるために、「すべて集めると日本列島ができあがる」という案を考えていたのですが、全部集めないと日本列島が完成しないというのは難易度が高すぎると思い別案を考え始めました。
地図好きの人やコレクション好きの人にヒアリングしているときに、「ちょっとしたゲーム要素があると面白い」という話を聞き、シルエットクイズを思いつき、試しに等高線だけを残し作ってみたところ、島の形そのものがすごくよくわかることに気付いたのです。
この案がトレーディングカード愛好家からも好評だったので、こちらの案を採用することにしました。
裏面の地図は周囲の島や本土も消して、その島だけしか載せないので、他の情報を省いた状態で形がしっかりと伝わるのが面白いです。
地図というのは色々な情報が詰まっているので、ついあれこれと情報を入れたがってしまいがちなのですが、ここまでバッサリと削ぎ落とすには覚悟が必要でした。
この裏面を使ってどのように遊んでいただくかはお客様次第で、シルエットクイズはぜひ試していただきたい遊び方です。

▲おもて面(左)と裏面(右)の違い
|人口や面積などの情報収集に苦労、正確な情報を伝えることの大切さ
―制作中はどのようなところに苦労しましたか?
高橋
私にとってトレーディングカードの制作というのは初めての経験だったので、色々と苦労した点はあるのですが、中でも大変だったのが校正作業です。
通常は校正を1人で担当するのですが、今回はカードの点数が多いため複数人でチームを組んで対応しました。校正が必要な要素は人口や面積、緯度・経度など色々ありますが、とくに大変だったのが島名の読み方ですね。
自治体で使われている公的な読み方と、実際に現地で使われている読み方が違うことがあり、どちらを採用するのか悩むこともありました。
また、全国各地の離島を扱っているために島名が被っていることがあるのに加えて、一般的に島名がアルファベットで表記されることは少ないため、色々と間違えやすく注意が必要でした。

▲校正で使用した商品サンプルと人口や面積が記載された一覧表
長縄
苦労したのは人口や面積の情報収集ですね。
基本的に人口については令和2年の国勢調査データ、面積については国土地理院が公開している「全国都道府県市区町村別面積調」に基づいていますが、国勢調査は基本的に市町村単位でまとめられており、ひとつの島に対してひとつの市町村があるかというと必ずしもそうではなく、他の島や本土の市町村とまとめられてしまっているケースが少なくありません。
このような場合は離島振興法や沖縄・奄美・小笠原の特措法のリストに掲載されている人口や、自治体が発表している人口の情報を採用することにしました。
―情報の正確性にはとてもこだわっているのですね。
長縄
ゼンリンにとって地図は“情報”であり、「間違いの無い情報を伝える」という思いが根本にあるので、とにかく数字の正確性と出典の信頼性にはこだわっていて、カードの下部でも情報の出典に関する注意書きを記載しています。
このスペースには各島の歴史や文化などの解説文を記載することも考えたのですが、あくまでもこのカードは離島に関心を持つきっかけにしてもらうことを想定しているので、あえてカードだけでは完結させないようにしました。
離島の詳細は色々な媒体で調べられますので、まずは島の地図から見えてくるものを感じてもらい、興味を持ってもらうことがこのカードの目的と言えます。
|トレーディングカードをきっかけに離島に興味を持ってもらいたい
―お二人の“推し島”をそれぞれ教えてください。
高橋
私は沖縄にある「新城島(あらぐすくじま)」を推します。ここはなんと人口が1人なんです! 一体どうして1人しか住んでいないんだろう、と不思議に思って色々と調べてみたら、ここは牛の牧場になっていて、滞在しているのが管理人のみだそうです。
ほかにも、島の周辺はジュゴンの生息地だとか、人魚伝説があるとか、意外な発見がありました。写真を見ると沖縄の原風景がそのまま残っている感じで、すごくきれいなところで、いつか行ってみたいなと思いました。
このような新たな発見があるのもこのカードの魅力です。
長縄
私の“推し”はたくさんありすぎて困ってしまいます(笑)。
思い入れが強いのは小笠原諸島の父島で、このカードの企画を最初に立ち上げたときにサンプルとして作った島です。島の形も複雑でインパクトがある島だと思います。
また、鹿児島県のトカラ列島にある諏訪之瀬島は、噴火によって西海岸まで溶岩流が流れていった跡がよくわかる地形が特徴的です。
奄美群島の喜界島や沖永良部島は道路が碁盤の目のように整備されていて、離島っぽくないのが面白いですね。
あとは長崎県の牧島。これはどう考えても鳥の形にしか見えない(笑)。
つい色々な形に見えてしまうのはデザイナーの職業病だと思います。

▲諏訪之瀬島(左)と父島(右)

―このトレーディングカードを使って、どのように楽しんでほしいですか?
長縄
制作中は何から何まで本当に楽しいことばかりで、「この島ってこんな形をしているのか」「こんなところにこんなに人がいるのか」と驚きの連続で、それぞれの島でどのように人が暮らしているのか興味がどんどん湧いてきました。
人口密度の数字や裏面のシルエットを使ったゲームを楽しむなど、色々と遊び方はあると思うのですが、アイテムを通して人と人とのつながりを作ることがMap Design GALLERYのコンセプトなので、このトレーディングカードをきっかけに皆様が離島に興味を持ってワイワイと会話を楽しんでいただけると、デザインした者としては大成功ですね。
高橋
やはりコミュニケーションのきっかけにしていただきたいですね。いくつかカードを買っていく内に被りも出てくると思いますが、他の人と交換を楽しむのも楽しいと思います。Map Design GALLERYの店舗でも、このカードをテーマとした何らかのイベントを開催できれば面白いなと考えています。

―今後の展開についてお聞かせください。
高橋
今回は第1弾ということで、有人離島304島のうち約4分の1を発売しましたが、お客様のニーズがあればその後にもつなげていけるので、まずは第2弾以降の発売を目指していきたいと思います。
ぜひ今後の展開を楽しみにしてください!
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編集後記
実は聞き手の私もモチーフ選定に参加させていただきました。
私の地元群馬県のモチーフになった「嬬恋キャベツ」は、いくつか案を出した中から採用してもらったものです。
“夏の青空の下、浅間山の麓に広がる一面の高原キャベツ畑”をイメージしたデザインになっています。

一方で、例えば高知県「うつぼ」は、私は全く知らなかったのですが、高知県を旅行したことがあるメンバーから
「現地ではうつぼ料理が有名で…」という話を聞き、調べてみると確かに“土佐の名物”うつぼ料理の情報がたくさん出てきました。
「カラーピンズプラス」の誕生をきっかけに、そうした各都道府県の新たな発見や、「やっぱ○○県は●●だよね」といった共感を、メンバー同士で体感することができました
(私としては実は半数以上は「新たな発見」でした)。
* * * * *
みなさんにゆかりのある都道府県のモチーフは何でしたか?
「やっぱり」「え?知らなかった」「ちょっと違うな―」などいろんなご感想を持たれると思います。
ぜひSNS等を通じて私たちにも教えてくださいね。
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